Wish Upon a Star“星に願いを„第四十一話【紅水仙】
んー…どういうことかな?
「な、なんのことだかよくわからないのね。」
「こんな時にとぼけるのも、嘘が下手なのも…相変わらずね。」
「は、はぁぁぁぁぁあああああ!?」
炎をまとった髪を逆立てながら、エメラさんは叫んだ。ひきつった顔には、幾つもの青筋が。
「きっと、あなたは魔王軍に弱みを握られて、仕方なくやったのよね。だって…あなたの家族は魔王軍に殺されたのだから…。」
「うるさい…!」
「だけどあなたは優しいから、きっと、魔物たちとの共存を願った。」
「五月蠅いってば……。」
「だからこうして、人間と魔物の仲を引き裂く私たちが邪魔だった…。そうなんでしょう?」
「黙れ…黙れ黙れ黙れ黙れ黙れぇぇえええええええ!!!!!!」
ガルガルしながら八重歯をちらつかせるエメラさんを横目に、ライラさんは淡々と、しかしどこか優しさと寂しさを含んだ声でつづけた。
「だけどやっぱり、何もかもが大切なあなたは私たちを攻撃できなかった。だって、どこまでいっても、あなたはエメラード・トレイルだから。人間も、魔物も、どんなものにも愛を込める、優しい心のエメラード・トレイルだから。」
ライラさんがそういうと、憤怒で顔を真っ赤にしていたエメラさんが、急におとなしくなった。
「・・・そうだよ。」
とだけ言って。