月華【なないろレイン×花の色】

大手有名小説サイト【小説家になろう】でも人気の作家「なないろレイン」と、高校生作家が運営する【花の色】の「紅水仙」の奇跡の合作!

Wish Upon a Star“星に願いを„第十五話【紅水仙】

「よかった・・・。よかったよ・・・!」

 

ほんの数日しかしゃべらなかっただけなのに、なぜか涙がこぼれた。

 

「よかったね、マリア。」

 

よしよし、とスイが私を慰めてくれる。とはいえ・・・。

 

「このあと、どうしよっか・・・。」

「?普通に話しかければいいんじゃない?」

 

スイが小首をかしげる。ただ、そう上手くいくとは思えない。

 

「だって、何日かだけど、私はカイたちを無視・・・とまではいかないけど、避けていたわけでしょ。」

 

「でも・・・それは事情があったし・・・。」

 

違うよ、という代わりに、私は首を振った。

 

「事実、私はカイたちを傷つけちゃっている。多分今話しかけても、気まずくなるだけだと思う。」

 

そう言い終えると、私もスイも、押し黙ってしまった。しばらく続く沈黙。最初に切り出したのは、予想外の人物だった。

 

「なら、私が協力してあげるのね。」

 

声の方を向くと、いつぞやの木賊色の髪の子___ライラさんの取り巻きの一人___がいた。

 

「えっと、あなたは・・・。」

 

「エメラード・トレイルね。エメラって呼ばれているのね。」

 

独特な語尾だな、エメラちゃんって。

 

「で、ライラの取り巻きが何しに来たの?」

 

前と同じように、冷たい口調でスイが訊く。少し怯えたような表情をするエメラちゃんを見ると、なんか申し訳なくなってくるな・・・。

 

「ま、まぁスイ。別に悪い子じゃななさそうだし・・・危害も加えてこなそうだよ?」

 

「そうなのね!僕はただ、君たちのお役に立ちたいだけなのね!」

 

そういい、エメラちゃんはピョンピョンと飛び跳ねた。

 

「今度、遠足があるのね。その時に、僕がきっかけを作るから、二人はそれに合わせとほしいのね。」

 

「ちょいちょいちょい、話が飛躍しすぎててついていけないから待とうか!」

ということで、詳しく聞いてみたら・・・こんなようなことだった。

 

・来週、学年で遠足に行くことになっていること

・遠足では、教師陣の決めた班で活動するということ

・班は既に決まっていて、マリア達とカイ達、エメラ・ライラは同じ班だということ

・そこで、適当にきっかけをエメラがつくるから、二人にはそれにのってもらいたいということ

 

「うーん、欲しい情報がちょくちょく抜けているけど、まぁいっか。いいよね、スイ?」

 

「マリアがいいなら、いいよ。」

 

「これでOKなのね!それじゃあ、当日によろしくなのね!」

 

そういい、エメラちゃんは走って行ってしまった・・・。