Wish Upon a Star〝星に願いを〟第三十五話
「いくらなんでも、人を待っている間にすることじゃないでしょうがぁぁあああ!」
「ちょ、これ、これは...」
「しかも、マリア、私がいるって分かってやりましたよね!」
「そんなこと、ないかも、ね?」
「マリアさん!」
「あはははは!」
面白かったのでつい笑っちゃった。
「こほん、マリアさん、久々に会ってみたら、随分印象が変わりましたわね?」
あ、ライラさん我に帰った。
「そんなに変わってない気がするけど...」
「外見でも性格でもない話ですわ。新興国の王女なんてやっていたら、魔力の性質を見るのも習慣化してきますの
...嫌ですわ、もう。
汚い色の魔力が渦巻いてますもの。」
「魔力って心が汚ければ色も汚いの?」
「そうですわ...一般に色が汚ければ魔法は使えないのですが、優秀な魔法使いの家系は、精霊様を欺く秘術でも持っているのかしら。」
「大変だね...って、ライラさんも、外見的に、随分印象変わったね」
ゆるふわパーマ位だった髪の毛が、今やゴリゴリの縦ロール...通称ドリルに。
「私、癖っ毛が進行してしまいまして...直したいのですけれど...誰にも直せないのですわ...」
「そう、なんだ...」
「魔法の名手のマリアさん、試しに直してみません?」
あ、バレてた。そりゃそっか。
「まぁ、やるだけやってみよっか。」
精霊様、いるかな?
『どうする?』
『主さまがお望みなんだから!』
『でも、マリアのお願いだよ?』
精霊様が喧嘩してる
...って、なんで〝主さま〟がドリルを望んでるの?
「これは、うまくいかないかも...
精霊様よ、私のお願い聞いて欲しいな。
私の右手を熱くして欲しいな。」
前世の知識、ヘアアイロン!
人差し指と中指で一束の毛を真っ直ぐに。
「精霊様よ、どうかこのままライラさんの毛を保持してくださいな。」
「す、凄いですわ...真っ直ぐになりましたの。
私の念願のストレートヘア!」
「ちょっと、それは言ったら...」
くるん!
精霊の主はフラグにも明るいらしい。
多分ライラさんの事見守ってるな。
「そん、な...せっかくの、まっすぐな、かみのけ...」
「そ、そんなに!?」
「私、真っ直ぐな髪の毛に憧れていましたから...
今の髪型が嫌いなわけではありませんのよ?
でも、真っ直ぐな髪の毛は、長年望んだものですから...」
ああ、哀愁が凄い...
あ、ちょっと巻が緩くなったような...
そんなこんなで夜まで話し込んでしまった...
あれ?何か大切なものを忘れた気がする。
あ、何故か精霊の主さんの顔が脳裏に浮かんだ。