月華【なないろレイン×花の色】

大手有名小説サイト【小説家になろう】でも人気の作家「なないろレイン」と、高校生作家が運営する【花の色】の「紅水仙」の奇跡の合作!

Wish Upon a Star〝星に願いを〟第三十八話

「エメラ、何故此処に?」

「僕は何も言わないのね!」

「言いなさい!これは命令よ!」

声を荒げるライラさん。

これにエメラくんは眼を伏せて答えた。

「...それは、出来ないのね。したくないのね。」

「そう、エメラは昔っから正直だけれど、隠し事は得意じゃない。
わかってるでしょ?」

「...流石はライラ様なんだね。でも僕はライラ様について行けるだけの権力は無いんだね。」

「私が許すわ!今すぐ私のもとに来なさい!」

「...出来ないんだね。きっとライラ様も、判るんだね。
...僕はライラ様と戦いたくない。
...僕は、マリアを相手にしなくてはならないみたいなんだから。」

言われて私は身構える。

「いくら精霊の加護を得たとしても、マリアは僕に、勝てるわけが無いんだね。」

「そんな事無い!それに私だけじゃない、此処にはライラ様だっているし...皆がいる!」

『これが主人公ってやつー?』

『たのしそー!』

耳をすませば聞こえる精霊の声。

これが私に協力的な精霊様の数か...

『主さまからの命!』

『どーする?どーする?』

『じゃんぽんけん!』

「...はいぃ?」

「何故か力が漲ってくる気がするんだね!
行くよ!マリア・ステランド!」

同時に魔法を放った

Wish Upon a Star“星に願いを„第三十七話【紅水仙】

「この奥に・・・。」

「スイがいるんだよな。」

 

不安そうな声が、辺りに響き渡る。

 

「よし、行くぞ二人とも!」

「カイ君、危ない!」

 

カイが走り出した・・・と思ったら木の根に躓き転んでしまった。

 

「いてて、危ないな・・・。」

「驚かさないでくださいまし。本当に、心配してしまいましたわ。」

 

カイが、転んだところを起き上がろうとすると、精霊さんたちが慌てたような声で言った。

 

『っ!カイ、動いちゃダメ!』

「え?ってうわっ!!!」

 

カイのいた地面が、ぐしゃりと潰れた。崖だった。

 

「カイイイィィィィ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、本当にライラ様はおっちょこちょいなのね。でも、私はそんなライラ様が大好きなのね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その声は、とても馴染みがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エメラちゃん・・・!」

「久しぶりなのね、マリア、カイくん、そして・・・ライラ様。」

Wish Upon a Star〝星に願いを〟第三十六話

「スイが居なくなりましたの?
これも幼馴染みの縁、私も探させていただきますわ。」

内心、焦っていた。

あの面倒くさい新興国の王女の顔は意外な所で役に立った。

精霊様、一つ頼んでもよろしいですか?

マリア・ステラレインと、カイ・コーシャに、
スイが居なくなったのでしたら、私とお話するよりも、捜索の方をした方がよろしかったのでは?、と。

精霊様がひっと息を飲んだ気がした。


同時刻。マリアは何をするでもなく身支度をし終えた所だった。


『マリア、ライラ・トニトルスからの伝言。
スイが居なくなったのでしたら、私とお話するよりも、捜索の方をした方がよろしかったのでは?』

精霊様は、ライラさんの声で言った。

「絶対そうだ、絶対その、主さまってやつだ!精霊様、スイの居場所、わかる?」

『うーんと、北の森、かな。そんなふうに呼ばれてたはず。』

確か国境の辺りに無かったか?、そんな森が

「ちょっと遠いけどカイを連れて行きたいんだけど、何か良い方法無いかな?」

精霊様は沈黙する。

私にはおしゃべりな精霊様だが、なんか、精霊の仕組みが分かってきた気がする。

「この美しい自然を支える尊い精霊様、どうか知恵を恵んでください...」

『やっぱ、マリアの歌好き!
そんなに褒めてくれるなら
...みんな、主さまのアレ、まねするよ!』

すると、目の前に豪華な門が...装飾が剥げた。

『あんまり、持たない...カイの家、繋いでる。』

「ありがとう、精霊様!」

まずはカイの家に行く。

「な、なんだよそれ!
ってゆーか、なんで俺たちあんな簡単に忘れてたんだよ!
マリア、捜しに行こう!」

「大まかな場所が分かったから、近くに送るよ...
精霊様、北の森までお願いできる?」

『他でもないマリアの頼みだからね!
主さまと関わった人間。』

新たに現れた門をくぐって、イギリス辺りにありそうな針葉樹林に着いた。

Wish Upon a Star“星に願いを„第三十五.五話「一方そのころ」【紅水仙】

*****

 

俺は、走っていた。暗く、静かな森の中を。

 

「スイッ!!」

 

息は絶え絶え、足はおぼつき、精霊たちの声がやけに遠くで聞こえている。体中どこもかしこも痛いけど、大好きなあいつのために走っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*****

 

「~~~~~~ッ!!」

 

口枷が邪魔で、上手く声が出せない。ゆっくりと、口元から生温い液体が滴り落ちる。一滴、また一滴。自分の出す体液と、上から垂らされる水で、床には水たまりができていた。

 

「~~!!~~~~~~~!!!」

 

「おいおい、まさかこんなもので終わりなのか??」

 

ケッケッケと、下卑た笑い声で私を囲むのは、膝丈ぐらいまでしかない小さな小さなゴブリンたち。いつもの私だったら、こんなやつらすぐに蹴散らしている。だけど、

 

「ほらよ、お前の友達さんだ。もうすぐこっちに来てくれるぞ~。」

 

ゴブリンたちが、一斉に笑い出す。私の前に出された水晶玉の中には、汗だくになって走り回るヤンの姿が。

 

「こいつさ、あのトニトルスの知り合いなんだろ?手ぇ出したらやばいんじゃないか?」

 

「気にすんな。どうせあの金髪ドリルは、すぐに捕まえられるさ。だってあいつは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

一族の落ちこぼれだからな!」

 

「ケーッケッケッケッケwwww」

 

荒れ狂う雨、薄暗い洞窟の中、もうじき世界を支配する新魔王軍の基地に、今、

私はいる。

Wish Upon a Star〝星に願いを〟第三十五話

「いくらなんでも、人を待っている間にすることじゃないでしょうがぁぁあああ!」

「ちょ、これ、これは...」

「しかも、マリア、私がいるって分かってやりましたよね!」

「そんなこと、ないかも、ね?」

マリアさん!」

「あはははは!」

面白かったのでつい笑っちゃった。

「こほん、マリアさん、久々に会ってみたら、随分印象が変わりましたわね?」

あ、ライラさん我に帰った。

「そんなに変わってない気がするけど...」

「外見でも性格でもない話ですわ。新興国の王女なんてやっていたら、魔力の性質を見るのも習慣化してきますの
...嫌ですわ、もう。
汚い色の魔力が渦巻いてますもの。」

「魔力って心が汚ければ色も汚いの?」

「そうですわ...一般に色が汚ければ魔法は使えないのですが、優秀な魔法使いの家系は、精霊様を欺く秘術でも持っているのかしら。」

「大変だね...って、ライラさんも、外見的に、随分印象変わったね」

ゆるふわパーマ位だった髪の毛が、今やゴリゴリの縦ロール...通称ドリルに。

「私、癖っ毛が進行してしまいまして...直したいのですけれど...誰にも直せないのですわ...」

「そう、なんだ...」

「魔法の名手のマリアさん、試しに直してみません?」

あ、バレてた。そりゃそっか。

「まぁ、やるだけやってみよっか。」

精霊様、いるかな?

『どうする?』

『主さまがお望みなんだから!』

『でも、マリアのお願いだよ?』

精霊様が喧嘩してる
...って、なんで〝主さま〟がドリルを望んでるの?

「これは、うまくいかないかも...
精霊様よ、私のお願い聞いて欲しいな。
私の右手を熱くして欲しいな。」

前世の知識、ヘアアイロン

人差し指と中指で一束の毛を真っ直ぐに。

「精霊様よ、どうかこのままライラさんの毛を保持してくださいな。」

「す、凄いですわ...真っ直ぐになりましたの。
私の念願のストレートヘア!」

「ちょっと、それは言ったら...」

くるん!

精霊の主はフラグにも明るいらしい。

多分ライラさんの事見守ってるな。

「そん、な...せっかくの、まっすぐな、かみのけ...」

「そ、そんなに!?」

「私、真っ直ぐな髪の毛に憧れていましたから...
今の髪型が嫌いなわけではありませんのよ?
でも、真っ直ぐな髪の毛は、長年望んだものですから...」

ああ、哀愁が凄い...

あ、ちょっと巻が緩くなったような...

そんなこんなで夜まで話し込んでしまった...

あれ?何か大切なものを忘れた気がする。

あ、何故か精霊の主さんの顔が脳裏に浮かんだ。

Wish Upon a Star“星に願いを„第三十四話【紅水仙】

「マリア―!」

 

カイが、こっちに向かって走ってきている。

 

「何かわかったの?」

「いや、特には・・・。それより、あいつが帰って来たんだよ!!」

「あいつ?」

「ライラだよっっ!!」

 

あ、そっか。時間が進んでたんだ。え、何。ライラさんどっか行ってたの??

 

「ライラが、新しくできた国の王女になって帰ってくるんだよ。といってもまぁ、隣国の王子が気まぐれで作った国なんだけどな・・・。」

 

思ったよりすごいことになっている()

いやまず王子すごいな。気まぐれで国を作るとは・・・。

 

「とにかく、ライラが俺らに会いたがってるんだよ。あの酒場にいるらしい。」

 

「・・・わかった。」

 

少し迷ったけど、大人になったライラさんに・・・会ってみたい!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ。

「酒場って、どっちの方角だっけ?」

「あ・・・。」

この様子だと、カイもおんなじ状況らしい。要するに今の私たちは

「迷子だな・・・。」

困ったな。どうにかして、ライラさんと合流しなくちゃ。あ、そうだ。

「ねぇ、カイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キスしよ?」

「は、はぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああ??????」

 

とりあえず、カイの顔に近づける。赤くなるカイの顔を見ながら、ゆっくりと目をつぶる。そろそろだな。

 

「何してるのよ、あんたぁああああ!!!」

 

はい、ライラ様が金切り声で登場。

Wish Upon a Star〝星に願いを〟第三十三話

「ここは?」

闇に向かって投げた声は虚しく木霊する。

「精霊の住み処。星野鈴音さんの思う宇宙。」

男の声がする。

「ほしの、すずね?」

「ちょっとそっちの記憶を一時的に抹消したんだった...今戻すから、目を瞑って。」

何も出来ずに言われるがまま目を閉じる。

すると誰かの足音がして、

そう、本当の「私」の記憶が帰って来た。

「あれ!あの後どうなったの!?」

すると黒い服を着た人影はすっと消えた。

「私は、死んで、ここに、転生した?」

「はい。」

人影が帰った後もさっきの男の声がする。

さっきの人影とは別人?

「つまり、ここは異世界?」

「まぁ、正解です。」
魔法界とか精霊界と間違えられる、星界
「何か後ろに哀愁が見えた気がするんですけど...」

「きっと気のせいですよ。」

「そうですか...あの、友人を捜しているので帰りたいのですが。」

「あぁ、ちょくちょく手を入れてたんだけど、たまたま世界的な位相が近くなったから連れてきたけど、説明とかしてなかったか...
君はちょっと不安定でさ。
だからちょくちょく〝お偉いさん〟に来てもらってたんだけど、君はマリアを取り込もうとしたからそれを支援して、記憶も返した。」

「よく分からないんですけど...」

「人を捜しているのなら、魔法を使うといい。」

「でも私には...」

「耳をすましてごらん。」

『わぁ、こんな人間、初めて!』

『いいやつ!』

『主さまのお気に入り!』

「今なら、出来るだろう?」

頷くと、また湖のほとりに出た。