Wish Upon a Star〝星に願いを〟第五十四話【紅水仙】
[]あ、戻ったみたい。
「おい、何ぼーっと突っ立ってんだよ!!」
怒ったような口調でカイが叫ぶ。刹那火の玉。え、火の玉?!?!
「よそ見している暇があったら、ちゃんとカイくんの盾になってくださる?見てるだけで不安ですわ。」
反対方向からはライラさんの嫌味が飛んできた。炎×悪のコンビネーション。ライラさんは味方のはずなんだけどなぁ…?
「ーーーっ!!ーーーーーーーー!!!」
ゴブリンたちが怒ったような音を出す。鳴き声のクセ強いな…なんて、馬鹿げたことばかり言ってられなそうだ。
「スイ!聞こえる??!!」
私達が今居るこの部屋は、多分洞窟の最奥。王室のようなものにあたる。当然そこにいるのはゴブリンの王で。スイとヤンは檻の奥で眠っていて…というより気絶していて。
「スイとヤンは無事なんだろうな!?」
カイの問いに、王は知らん顔だ。まるで興味がない、そんな顔。無事、なんてことはない。スイの顔にすり傷がついているのが、僅かな隙間から見えたから。
「さて、戦いますか。」
二人が入れられた檻をみて、私は精霊さん達に指示を出し始めた。