Wish Upon a Star〝星に願いを〟第五十三話
「ま、丸投げぇ!?」
〝主さまぁ!?〟
「...一旦時を止めよう。全部あのお方のせいだ。」
すると回りの風景は全て止まった。
「君、タイムパラドックスなんてよく知ってたね。
まぁ、神は誰もそんなこと気にしないけど。
...今の状況を説明しよう。
君は死にかけてたんだけど、とあるお方が魂持ってっちゃって...
知らない間に体が死んでるのって可哀想だから星霊に頼んで体を保存してもらったんだよ。」
「...?」
「そんで、君は一度に同時に異なる時間軸に存在してたんだからタイムパラドックスは起こるよね?」
「...? 」
「...いまいちわかってなさそうだね。」
「え、普通今ので分かります?」
「普通が分からない...人間の普通ってどこにあるんだ?
君はこの世界に、容器として存在していた。
君の中身は、時間の進み方が異なる世界にある、別の容器に入った。
君はこの世界の容器に戻ってきたらどうなる?」
「...実際に私が経験した時間よりも進んでたり、遅れてたりする?」
「そう。この世界は遅れていたから、まだ一分位しか経ってないよ。
...まぁ、君のいた世界はイレギュラーの塊だから、時間の進み方なんてよくわからないんだけどね。」
「...取り敢えず、私は同じ時間に二人いたんですか?」
「うーん...まぁ、難しいこと教えても仕方ない。時間の概念なんて神でもなきゃ関係ないし。
それで、僕がいなくなったら時間の進み方が元に戻るけど大丈夫?」
「え、うーん...」
よくわからないこと考えさせられた頭にこの修羅場ですか...
「あ!一つ教えて下さい。
世界の綻びってなんですか? 」
「あー、そこの扉の先?
世界が外部から干渉でも受けてるのかな?」
そういうと神様は黙りこくってしまった。
「うわ!策士で有名な第二百三十四悪魔界!?」
悪魔界多すぎじゃない??
二百三十四までが名前だったらわからないけど。
「力はとんとんかぁ...
いま、歪みを直すから、目を閉じてそっぽを向いて。」
すると精霊様によって目の前が真っ暗になった。
〝耳もだめ。主様の許可が出るまで待機。〟
どうやら耳も聞こえないらしい。
体感10分位で視界が開けた。
「うん、初期に見つかって良かった。星霊達、ありがとう。」
〝主さまの役に立てた!嬉しい!!〟
呼応するように辺りが明滅した。
「じゃあ、もう良いよね。
時の流れを戻すよ。
3、2、1────」