月華【なないろレイン×花の色】

大手有名小説サイト【小説家になろう】でも人気の作家「なないろレイン」と、高校生作家が運営する【花の色】の「紅水仙」の奇跡の合作!

Wish Upon a Star〝星に願いを〟第五十一話

「あれ?紅水仙さんは?」

すっと退出しちゃったのか、一瞬のうちに私は取り残された。

「おーい、誰かいませんかー?」

あっちから出ていってたよね?

「っ!弾かれた!」

そこには透明な膜があった。

いよいよ閉じ込められたらしい。

「どうしよう...あ!早速過ぎて申し訳ないけど、他に手はないよね...空飛んでた藤華さんよりも強い神様って...」

言ってて気がついた。持ってるは良いけど、使い方を知らない。

「誰かー!こ、ここから出してくださーい!」

「んー?...だれー?、
...え!誰!?記憶に無い人!」

「え、あの、貴方とは初対面だから知らないのに驚く必要は...」

「と、取り敢えず名前。私はリーネ。」

「えー...星野鈴音です。」

「ほ、ホシノ!?」

急にあわてたリーネさんは霧になって消えた。

しばらくして戻ってくると、よく分からない男の人を連れていた。

「あれ、君、うちの人間じゃん。
良かったよ。星野をあっちに出して。お蔭でリーネに呼んでもらえたからね。
いやー、藤華には悪いけど、君に無理矢理引き合わせたのは正解だった。」

「誰、ですか?」

「あ、俺は君の世界のー、神だッ!」

なにこのカッコ悪い人。こんな人が神とかちょっとやだ。

「神だから説明しよう、この世界は夢界。で、この世界の神がリーネだ。
そしてこの俺様、星野雅人がお前の世界の神だ!」

「...マサトさまー、騒がしくしないでー。
あとー、もうだいじょぶそーだからかえるー。
おやすみー...ふぁあ。」

リーネさんは欠伸をしながら霧になった。

「む、騒がしくするなと言われてしまった...
よし、聞こう。その鱗に免じてだ。
お前は前の世界で生活するか?お前の望む環境を用意しよう。
それとも...あそこ...あそこだ!...どこだっけ...ああ、マリアの世界に帰るか?」

「...そうですね。私はもうだいぶ歌っていません。
たとえあの時に戻ったとしても私は以前とは違います。
たとえ記憶を消されても、今の私はあの記憶がなくなるのは嫌です。」

「ふーん?じゃあ帰れるか知らないけど、他の神呼んでくるから待ってて。
送ってはくれるだろうから。
...あと、俺の世界にいるならその鱗持ってって良いけど、マリアの世界に行くなら持ってけないからな。」

「...じゃあ、その鱗はどうなるんですか?」

「うーん...その体は前みたいにとっとくから、死後聞きに来てよ。それまでその体と置いとくから。
大丈夫大丈夫、僕が悪ささせない。
だから君の体は十年近く無事だったでしょ?
バックアップを取るのは得意だから。
もう聞きたいことはないかい?」

「はい。もう思い付くことはありません。
...少し坂前さんが可哀想だけど。」

「俺の世界ではそんなこと無駄。
俺の世界はあらゆる選択肢を取ることができる世界だからね。
その代わり、俺の世界の中では良い選択肢も悪い選択肢も全部とる羽目になる。
...結局、月華が戻って喜ぶ坂前と、戻らない坂前がいることになる。」

「そうなんですか...わかりました、お願いします。」

「じゃ、ル...他の神呼んでくるね。」

雅人さんはふっと姿を消した。

10分位してやっと雅人さんが帰って来た。

「お待たせー。この子だよ。確か会ったって言ってなかったっけ?」

「雅人...あまり馴れ馴れしくするでない。
...マリアと呼ぼうか。目を閉じろ。」

ため息を吐いた後、何処かで見たような人が言ってきた。

目を閉じると、私はマリアだった。