月華【なないろレイン×花の色】

大手有名小説サイト【小説家になろう】でも人気の作家「なないろレイン」と、高校生作家が運営する【花の色】の「紅水仙」の奇跡の合作!

Wish Upon a Star〝星に願いを〟五十話記念【特別編】

─月華と藤華 __なないろレイン

「...暇だなー。これからどうするかなんて、まだ何一つ決まってないし。
...ってあれ!?昔と声が変わってない!?
16年も眠っていたなら、私の声なんて変な事になってるはずなのに!?」

移された真夜中の病室で叫んだ鈴音に答える者は...

「ここ、どこ?なんでいつもと違う場所に出るの?そんなに杜撰なの?わざと?」

藤色の髪と瞳を持った、ワンピース姿の少女だった。

「...どちら様でしょうか?」

「えーっと...藤華って言います。貴女は?」

「星野鈴音です。」

「...藤華!?」
「...星野!?」

二人は同時に驚いたようだった。

「藤華って、華道の華ですか?」

月華に似た響きだったので思わず聞いてしまった。

「星野って、空にある星に、野原の野ですか?」

「「...はい」」

二人とも驚く。

「これは...確実に私がここに来たのは偶然じゃないね。」

偶然とはどのようなことか。
常人には理解できない。

「というか、どうやってここに来たんですか?」

月華は関係者以外は立ち入れない病院の個室に突如現れたということに今更ながら驚いて聞いた。

「...うーん、秘密。貴女の身の上に奇跡って、起こってない?」

「奇跡、ですか?...16年も、死んでいた状態?から、夕方に起きた所ですかね。」

「...もっと、何かない?それだけ?」

それも充分に奇跡と言えるものだが。
それは、月華にとって、自分の内面にあるものを話してくれないかと言われているように感じられた。

「...信じてもらえるか分からないんですけど、私には異世界の記憶があるんです。
おそらく、眠っていた頃の。
...変ですよね。きっと夢、です。」

夢と言う割には儚げな表情をしていた。

まるで、目の前の不思議な色の髪と瞳を持つ人ならば信じてくれると縋るような、でもそれはあり得ないと諦めているような。

「それは、夢じゃない。」

その胸中を汲んだのか汲んでないのか、藤華は言い切った。

「それは、貴女にとっての大切な思い出でしょう?
そして、この髪の色を見て懐かしんでる。」

「藤華さんって、何者なんですか?」

「...そうだね、放浪者とでも言えばいいかな。
様々な所を旅する流浪の身。
帰るべき故郷は、貴女達の想像を絶するほど遠い。
...そう、多分貴女の夢の中の世界よりも遠く。」

「...知ってるんですか?」

「それだけ私の故郷は僻地だってこと。
ここはそれなりに中心に近いはずだから、世界の隅も隅にある私の故郷よりはその世界は近いと思う。」

「何者、なんですか?」

「単なる旅の者...ああ、そろそろ帰ろうと思ったけれど、病院じゃあ危険だ。あのお方を捜さないと。」

「旅の人ならここには不慣れですよね?どなたをお探しですか?」

言ってから月華は気付いた、16年も眠っていた私に人探しなんかできるはずがないと。

「あー...ごめんなさい。多分大丈夫です。
少し帰るのは難しくて。」

言いながら藤華は窓に手をかける。

「な、なにするんですか!?」

窓枠に乗った状態から上を見上げ、ベランダもないところに降りた。

「帰るの。あまり鈴音さんの知り合いにバレちゃいけないし。」

「ま、待って下さい!」

藤華は降りたのにふわりと浮いている。

「私はこの世を旅する仙蛇。この世は寿命無いこの身にとっても広いもの。
あまり居座るべきじゃない。ましてや貴女にこうして出会えたならば、長居するのは更に良くない。」

そういって仙蛇だと言う藤華は、その髪と瞳の色さえなければ現代の少女なのに、どこかかぐや姫のような雰囲気があった。

「じゃあね、月華さん。もしも機会があれば、また会おう。
でももう、来ないだろうけどね
...そうだ、記念にこれ、あげるよ。」

そういって出したのは小さな藤色の巾着袋。

「大蛇の鱗...私の鱗だね。
でもきっと御守の代わりにはなるよ。
私は呼んだら来る、みたいな約束は出来ないけれど、私の気配が宿ってるから、とあるお方の助けが得られるかもしれない。
...私なんかよりもはるかに強い、神様のね。」

すると、月華が礼を言おうとするよりも速く、満月に向かって飛んで行った。

その影はすぐに見えなくなったが、月華はずっとずっとそれを見つめていた。










「自己紹介しないと出られない部屋」_紅水仙

待って、またなんかよくわかんないところに跳ばされた。うーん・・・ここは部屋だね。真っ白。ほかに何かあるとするのなら、知らない人が数名と、鍵のついたドア、その上になんの表示もされていない電光掲示板。
「まって、いやな予感がする。」
「気が付いたようね。」
紅い髪の女の人がいう。
「ここは・・・いえ、電光掲示板を見てもらった方がはやいわね。」
ほら、と言われたので上を見る。なになに・・・「『自己紹介しないと出られない部屋』?」
「だっっっさ。もう少しおもしろそうなネタはなかったわけ?」
水色の髪をした女の人が、つまらなそうに言う。
「いやいや、まずあなたたち誰なんですか?危ない人なら警察呼びますよ?!」
「危ないやつ!?どこにいるんだ?」
「お前だよバカ。」
今度は金髪と黒髪の男の人達が口々に言う。さっきから紫の髪と白髪の女の人達が一切話してないんだけど。ほんとなんなのこの六人・・・。
「とりあえず自己紹介しましょう。私の名前は月華。歌い手やってます。」
あじゃあ、うちのそうびとおんなじだね~。」
「ちょっと藍はだまってて?」
赤と水色が漫才をしている。こわ。
「・・・紅水仙。花の色っていう小説ブログの作者よ。ちなみにファンタジー担当。」
「見た目赤髪だから、不良なのかと。」
「結構失礼ね、あなた。まぁ、さらっとほかの人も紹介して。」
「藍鈴蘭。恋愛小説担当。髪色は水色。」
「紫椿。シリアス担当。髪色は紫。」
「黒柊。アクション担当。髪色は黒。」
「白朝顔。ほのぼの担当。髪色は白。」
黄山茶花。ホラー担当。髪色は黄色。」
「あまりにも端的にしすぎじゃないですか?」
「尺の都合上仕方ないのよ、月華ちゃん。」
「このうえなくメタい!大丈夫?読者の方々ついてきてる?」
「無理でしょ。」
「でしょうね!というか、話し方の癖が分からないからだれがだれかわからない!!」
「大丈夫、さっきから私・・・紅水仙と月華ちゃんしかいないから。」
「え?」
「扉開いたから、皆帰った。」
そういい、その人もすたすたと部屋を出ていく。
「本当になんなのよあの人たち・・・。」
「あそうだ、月華ちゃん。」
「なんですか?」
彼女は駆け寄ると、私の耳元で囁いた。


「また今度ね。」


「!!!!!絶対嫌です!」
「あはは、じゃーね。」







「よかったら、花の色や、なないろレインの投稿ものぞいてみてくださいね♪」