Wish Upon a Star“星に願いを„第四十七話【紅水仙】
あれから「ちょっと席を外してくださる?」と言われて追い出され、かれこれ三十分。中から断末魔が聞こえてきています。
「女の子って怖いね。」
「マリアも女の子だろ。」
あきれたような、でもちょっと照れた声でカイが言う。うーん、たった数年で人は変わるもんだなー。
「…。」
エメラちゃんは、ずっと黙ってる。ゴブリンたちの悲鳴を聞いて、いろいろ思うところがあるらしい。
まぁ、つい半日前まで働いていたところを元君主にぶっ壊されてるからね。びっくりだよね。
「はぁ…。」
ため息をつくと、急に眠気が襲ってくる。
「え、おいマリア!?」
カイ…かな。誰かが私を呼ぶ声がする。
”あとちょっと“
…別の方向からも声が……。
”あと少しで元に戻るから“
”思い出して“
痛い。頭が、いたい。
”君の本当の名は“
「おい、マリア!しっかりしろ!!」
「あ、カイ。」
意識がスーッと戻ってくる。まるでどこか別の場所にいたみたいな疲労感。
「大丈夫か?」
「…なんか疲れてたみたい。ごめんね!」
そんな不安そうな顔しないでよ、カイ。
「本当か?お前まで居なくなったら、俺…。」
カイは今にも泣きだしそうな目で、声で、気持ちを紡ぐ。そしてゆっくり私の手を握った
__瞬間にダンジョンの扉がバンッと開く。
「抜け駆けは許しませんわよ?」
「は、はい…。」
その目は、本気だった。