Wish Upon a Star〝星に願いを〟第三十二話
あれ?
私って今まで...?
ここはどこ?
「マリア!カイくんが来たわよ!」
誰?
カイ...?
...あぁ、思い出した。
「マリア?」
そうか、この人は母さんか。
「私」の記憶よりも老けていて分からなかった。
「私」の記憶は8歳で途切れていたけど、私はもう15歳だ。
「私」の記憶によれば、カイもすっかりイケメンに成長している。
「今行くー!」
そして玄関を見るとカイくんがいた。
「私」と「私」がだいぶ馴染んできたみたいで今度は違和感を感じなかった。
「大変だマリア!スイが、スイが!」
「スイが?」
「し、しし、失踪した!」
「捜してくる!」
「マリア!」
走ろうとしたところを止められた。
「町の人も総出で捜してるから、北の森から湖の辺りを捜してって」
「分かった!」
私は必死で木々の間を走り、声を上げた。
でも、私はいつの間にか、知らない場所に出ていて、くらい、くらい沼の底に引き摺り込まれる感覚がした。
あっと言う間に首まで沼に漬かり、手を伸ばして助けを乞うも誰にも届かず、意識は途切れた。