月華【なないろレイン×花の色】

大手有名小説サイト【小説家になろう】でも人気の作家「なないろレイン」と、高校生作家が運営する【花の色】の「紅水仙」の奇跡の合作!

Wish Upon a Star“星に願いを„第二十九話【紅水仙】

あれから私は、すぐ教室に戻った。教室に入ると、カイ達が駆け寄ってきた。心配してくれてたみたい。

 

「無事か、マリア!?」

 

「逆にこれで有事なわけがないよね。ただ校長室に呼ばれただけだよ、大丈夫。」

 

そこで私は、ハッとした。エマさんは。

 

「ねぇ皆、エマさんって知ってる?」

 

「「「エマ?」」」

 

三人は声をそろえて、お互いの顔を見た。そして、首を振った。三人とも。

 

「え・・・他のクラスとかでも、いない?」

 

「僕、他クラスの人全員知ってるけど、そんな人聞いたこともないよ。」

 

どういうこと?まさか他学年・・・。待って私。エマさんは私の【クラスメイト】って言ってたよね。

なのに、クラスにいない。ここに、いない。つまり・・・。

 

「エマ・ピック・ロールは存在しない人物?」

 

「もう少し静かにしていてくださる?読書の邪魔ですわ。」

 

振り返ると、そこにライラさんが立っていた。そうだ、エマさんはライラさんの【忠実なる下僕】とも言ってた!ということは、この人に聞けば・・・。

 

「マリア。」

 

いつも涼しげな表情をしているライラさんが、今日はいつもより青ざめて見えた。

 

「あなたに、話さなくてはいけないことがあるようですわ。」

 

「おい、またマリアに何かするようならただじゃ・・・!」

 

「一時休戦です。」

 

カイにはいつも猫なで声を出していたライラさんだけど、今は冷たく言い放った。やっぱりいつものライラさんじゃない。様子がおかしい。ライラ様は、私の耳元で、こう囁いた。

 

「とにかく今日、私の家へ来てください。」

 

_エマ・ピック・ロールについて、教えてあげますわ。

 

最後の言葉は、カイ達に聞こえないくらい小さな声で。「また後で。」といい、ひらひらと手を振って、ライラさんは席に行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エマさん、あなたは一体何者なの?