Wish Upon a Star“星に願いを„第十三話【紅水仙】
<ライラ視点>
さぁ、邪魔者はもういなくなった。
今こそカイくんと・・・なんて、甘いことを考えていた。
けれど、あいつ___マリア、といったかしら。
あいつと話さなくたってから、カイくんの笑う回数がかなり減った。
カイくんは、あんな奴のどこがいいのかしら。
しかし・・・カイくんの幸せを奪ってしまったのも事実。
あいつにも・・・申し訳ないことをしたわ。
「あーもー!!私はどうすればいいのよ!!」
「何をやってもいいのね、ライラ様。」
振り返ると、私の取り巻きの一人___“エメラード・トレイル”が立っていた。
エメラは、木賊色の短髪を耳にかけてから、すとんっと隣に座った。
「ライラ様は、この村の希望でもあるのね!
だから、そのライラ様が言うことは皆納得するのね!!」
「・・・そうかしら。」
今の私は、こうしてお嬢様のようになっているけれど、現実はただの酒場の娘。
おまけに成金だとか、色々言われるし、政略結婚なんて当然の家系。
だからこそ・・・。
「この恋は・・・この恋だけは、叶えたかったのにね・・・。」
「?何を言っているのよね。」
そう言って、エメラは立ち上がった。
「普通に、マリアちゃんに
「友達としてなら、カイくんと話していい。」
って伝えればいいだけのことなのよね。
なんでそんなに悩むのか・・・・・・僕にはわからないのよね。」
「エメラ・・・。」
あなたって子は・・・本当に・・・。
「天才ね。」
「やったのね!ライラ様に褒められたのね♪わーい、わーい!」
こうして、なんとかカイくんの笑顔が増えればいいのだけれど・・・。
あぁでも、その前に村長に話をつけてこないと、ね・・・♪
「忙しくなるわね。」
先に立っていたエメラの後を追うようにして、立ち上がった。
「いろいろ大変だけど、エメラ、よろしくね。」
「もちろんなのよね、ライラ様!どこまでもついて行くのよね!!」
私達は、村長の家に向かって歩き出した。
夜の道は、冷たい風を吹かせていたけれど、不思議と寒くなかった。
待ってなさいよ、マリア・ステラレイン。