Wish Upon a Star“星に願いを„第十一話【紅水仙】
「それで・・・マリアに何の用?」
階段の踊り場の隅で、私達はライラとその取り巻きに呼び出された。
の、はずなんだけど・・・。
「いや、その・・・ね・・・・・・。」
なんというか。
「早くして・・・。カイに“嫌がらせ”で呼び出されたってチクるよ?」
「そ、それだけはおやめください!そんなことしたら、カイ君に嫌われてしまいますわ!!」
私達の方がいじめているみたいになってきちゃったな・・・。
「ちょ、ちょっと待ってよね!!ライラ様はこういう恋関係?の話だと詰まっちゃうのよね。
だから・・・もう少し待ってほしいのよね。」
木賊色の髪をショートカットにしている取り巻きの一人が、
ライラを守るように立ちふさがる。
「いや・・・そういうのいいから。」
そう、スイは冷たく言い放った。
なんだか、ライラさん達に申し訳なくなってきたな・・・。
「と、とにかく!どんな内容なのかだけ、教えてもらえます?
なるべく手短に・・・。」
最後の方、小声になったわ。
でも、きっと聞こえてないよね・・・?
「ふ、ふん!手短に、ね。愚かなあんたに教えて差し上げますわ。」
あ、やっぱり可哀そうじゃないや。
というか、そもそも聞こえてたのね。
「コホン。今回あなた方を呼んだのは、他でもないカイ君のことよ!」
「だと思った。」
またしても、スイが嫌悪丸出しで吐き捨てる。
スイとライラさんは仲良くなれないな、これは。
「と、とりあえず!あなた方はどちらにしろカイ君とこれから接することはできません。
村長からもお達しがでています。」
「な、なんで!」
「お黙りなさい。カイ君は、後々わが校の宝となるのです。
そんな方に、あなた方のような薄汚いネズミが付くといけないのです。
そういうわけで、カイ君からは手を引いてくんなまし。」
そういい、取り巻きを連れてライラは私達に背を向けた。
「まって!」
「・・・ゆるしてくんなまし。」
最後に、そう聞こえた。
どうしよう、カイと会えなくなっちゃうよ!!