Wish Upon a Star〝星に願いを〟第十話
今日は春休みも明けて、新学期。
いつもの三人と孤児院を兼ねている小学校に登校している途中、昨日の話をした。
「ライラ・トニトルスさんって人、なんか、感じが悪いって言うか...」
「お、お前ライラと会ったのか!?」
カイが反応した。
「う、うん。なんか、思ってることがわかる魔法を使われて...」
「うわぁ...あいつ、実は本気だな?」
「なに?」
「いや、マリアには関係ないんだよ。そう、なんか、俺の婚約者を狙ってるらしいんだよ。」
「え、スイは大丈夫なの?」
「あー、スイと僕は、ライラの中ではセットなんだよ。孤児院にいたスイに真っ先に声をかけたのは僕だから...ポジションとしては、カイと僕、その友情に巻き込まれて渋々仲良くしてるスイって感じかな。」
ヤンが解説を入れる。
「まぁ、空いていた俺の彼女ポジションに入ろうとしてたけど、アイツ性格悪いから距離を置いてたんだよ。で、そこに俺と親しそうなマリアが入る、と。」
「え、えぇ。」
「そーいや、音痴だって事はバレた?」
「多分、裏事情まで知られてるかも...」
「アイツの事だ、黙ってて俺に恩を売ろうって思ってるんだろ。それに、アイツの根っこの根っこは悪くないと思う。だって、こっそり公園の掃除してたりするからな。」
「そうなんだ...実はいいひと?」
「うーん、何故あそこまで俺の婚約者に拘るかはわからないけど、俺が絡まなきゃいい奴だぜ。」
「ありがとね、カイ。」
話しているうちに学校に着いた。
「あら、カイ君、来ていましたのね。」
「ら、ライラ!?」
「この町も言うほど大きいというわけでもないので、また同じクラスですわね。私、嬉しいですわ。」
ライラさん...ドリルが付いてそうなキャラしてるなぁ。
うん?なんでそう思ったんだろう。
「あら、マリア、いまなんかおかしな事を考えていましたわよね?」
「ま、まあ。今日はおかしな夢を見たなぁって。」
「ふぅん。それならいいですわ。」
にこりとライラは笑う。
目が笑っていない。
「それと、後で私の所に独りで来てくださる?別に脅すわけではありませんの。ちょっと町長から事情を伺っているだけで。」
「流石は酒場の看板娘...でも、人聞きの悪いことは言いふらさないでくださいね。」
「ヤン、そんな、こっちが人聞きの悪いって言いたくなるわよ?...私だって、良い悪いの分別くらい、つきますわ。」
「マリアの嫌がるような事はするなよ、ライラ。」
「カイ君、わざわざそんな事しに呼び出すわけではなくってよ。心配する必要はありませんわ。」
「なんかあったら絶対婚約なんてしないからな。」
「そ、それは酷いですわ!それと、本当にマリアさんの嫌がることはしませんの!信じてくんなまし!」
「落ち着いて、二人とも。」
スイの横槍で静かになる。
「私は一緒にいてもいい?」
「ま、まぁ、駄目とは言いませんけど。」
「なら、私もいく。それならカイたちも心配しない。」
「それで良いのならば、私は構いませんけども。いくらカイ君とはいえ、男子に知られるのは恥ずかしいですので。」
「なんか凄く気になる...」
「俺は迷惑してるけど、俺に首ったけなアイツが俺に隠したいこと?ヤンが子供っぽいって言えないくらい気になる...」
なんか、私にもわからないけど、呼び出されて見ることにしよっと。