月華【なないろレイン×花の色】

大手有名小説サイト【小説家になろう】でも人気の作家「なないろレイン」と、高校生作家が運営する【花の色】の「紅水仙」の奇跡の合作!

Wish Upon a Star〝星に願いを〟第八話

翌日、いつもの公園に行った。

「ようマリア。」

「ねえ、なんでヤンとスイもいるの?」

「いやいや、友達の一大事でしょ!」

「あんなに歌がうまいのに魔法が使えないなんて勿体無いよ。」

「ってな事で、ついてきた!」

ついてきたって、え?

「行き先は?」

取り敢えず聞いてみる。

「すぐそこの怪しい婆さん家。あそこなら、なんとかしてくれるだろ。婆さんだし。」

カイくん、婆さんだしって、大丈夫なの?

「あの婆さんならなぁ。」

ヤンまで!?

「あのお婆ちゃん、何でも出来そうだもんね。魔法は普通だけど。」

す、スイちゃんも!?

「えー!」

見るからに怪しいので行きたくないですぅ。

「ほら、魔法が使えるようになれば良いじゃん!
...レッツゴー!」

強引なカイに引っ張られ、魔女の家なんじゃないかというお婆さんの家に行くことになった。





「おっじゃまっしまーす!」

「どうしたのかね?カイ、ヤン、スイ...そこの子は最近越してきたマリアちゃんでよろしいかね?」

「は、はい。」

見るからに、魔女。

しかも会ったこともないのに...目が見えてるのかさえ怪しい魔女衣装。

「して、カイ、何用かね?」

「その、マリアが魔法を使えなくて...魔力放出量かなんかは大丈夫?って思ってさ。」

「その子、音痴って訳ではないのかい?」

「カイに代わって僕が説明するけど、マリアがものすっごい歌が下手なんだけど、どうにかして魔法を使わせてあげられないのかって思って!」

ヤンが早口で言い切った。

あ、音痴じゃないってバレたらまずいのか!

「まぁ、いい。それ、歌ってみておくれ。」

もう、どうにでもなれ!

とにかく音程を外し、揺らし、不気味な声で歌ってみた。

「その子、魔力放出量が、よく分からないんだよね。」

「不安定?」

スイの問いは呆気なく否定された、

「いや。恐ろしく安定している。魔法が使えてもおかしくない魔力放出量だ。これなら歌が歌えなくとも無詠唱で使えるだろうさ。でも、どういうことだか、なにも起きない。恐ろしく魔力放出量があるようにもみえるし、ないようにも見える...本当に、数値が高すぎて読めないとか、そう言うものじゃないんだよ。
魔力放出量っていうのは誰かを基準に数値で表すことが多い。
...でも、魔力っていうのはそんなに単純な物じゃないんだよ。ちっとも魔力放出量が無くったって魔法が使える人も居たものさ。
...まぁ、逆はマリアで初めてだけどね。」

「おしまい?」

スイが不思議そうに聞くと、魔女...みたいなお婆さんは大きく頷いた。

「ああ。もう、後は神にすがるしかないだろうよ。」

「なんかよくわからねーけど、ありがとな、婆さん!」

「気をつけてお帰り。」

4人はお婆さんの家を出た。

「マリアって子、不思議な子だねぇ。」

お婆さんは独り呟いた。







「まぁ、あの婆さんで無理なら魔法は無理だな、マリア...ごめん。」

「僕もあの人の幅広い知識ならなんとかなるかと思ったんだけど...」

「...ごめん、マリア。」

「いいんだよ!みんな!魔法が使えないのにいきなり使えるようになるって、物語の中のお話でしょ?」

「そ、そうだけど。」

カイはまだ言い足りないらしい。

「い、い、の!私が良いって言ってるんだからいいの!」

「マリアが、言うなら...カイ、ヤン、二人がそんなんじゃ、マリアも気落ちしちゃうよ。」

「そ、そうだな!」

「マリアも、ああ言ってるから、きっといいのか。」

そう言って、いつも通りボール遊びが始まった...

何故か魔法合戦みたいになってマリアがついていけなくなっていたが。