Wish Upon a Star“星に願いを„第七話【紅水仙】
「にしても、マリアはなんで魔法使えないんだろうね。
歌はものすごく上手だから、強力な魔法の一つや二つくらい使えそうだけど・・・。」
こら、ヤン!と、カイが叱ってくれる。
きっと…いや、完全に気を使ってくれているのだろう。
正直、もう慣れてしまっているから、なんとも思わないのだけれど。
「人の得意・不得意だよ、ヤン。ヤンも、野菜は好きじゃないでしょ?」
「グッ・・・・・・確かにそうだ・・・。」
「ね。そういうことだよ。」
そう言い、スイはやわらかく微笑んだ。
そしてスイは、私を慰めるかのように「ごめんね。」といいながら頭をなでてくれる。
「なんだか、急に兄弟ができたみたい。
カイがお兄ちゃんで、スイがお姉ちゃん。で、ヤンが弟。」
「僕が一番年下なのかよ!?」
そう言って、皆で笑った。とはいえ・・・魔法、か。
「練習しようかな、魔法。」
「お、いいじゃんいいじゃん!僕らも教えるよー。ね、カイ、スイ?」
「「もちろん。」」
さっきの弟みたい発言によってなのか、ヤンがやけに張り切っている。
ま、きっとどうにかなるだろう。
***
「うっそ・・・何一つできない・・・・・・。」
「うーん・・・魔力が足りないのかな。元々の魔力の放出効率が悪いのかも。」
あれから約五時間。魔法は・・・一切できなかった。
やっぱり、私には、魔法の才能がないのかもな・・・。
「こうなったら、最終手段・・・。」
そう言って、カイは私の手を取って、衝撃的なセリフを吐いた。
「マッサージ屋に行こう!」
「・・・はい?」
「いや、魔法の放出効率が悪いなら、マッサージで直してもらえないかなて・・・。」
そういうことか。正直そんなことで変わるとは思えないけど・・・
やるだけのことは、してみたいよね。
「よし、明日にでもいこっか。」
そうして、私の魔法練習が始まったのだった。