Wish Upon a Star〝星に願いを〟第二話
「おーい、マリアー!」
父さんが呼んでいる...父さん?
「ここにいたのね、マリア。昔から勝手に歩き回るんだから。」
母さんに言われた...母さん?
私って誰?
今の私は何歳なの?
答えは先程の湖を覗き込む前に自分の中から出てきた。
マリア・ステラレイン。8歳。
記憶を取り戻してくるみたい。
頭痛い。
「どうしたのマリア。ぼうっとして。」
「お母さん、ごめんね。ちょっと喉が乾いちゃって。」
「マリアが水筒も持たずに走り回るからでしょ...はい、マリアの水筒。」
「ありがとう!」
中の水を飲む。
にしてもなんで旅を...あぁ、旅じゃなくて、引っ越しだったっけ。
この世界は魔法がある。
精霊達を褒め称え、気を良くした精霊達に魔法を行使してもらうのだ。
父さんと母さんの手荷物が少ないのは精霊に頼んで先に運んで貰ったからだ。
でも、なんで引っ越しをしてるんだっけ?
あ、歌がうまいのに魔法がほぼ使えない私が気味が悪いと村八分にされたんだっけ。
父さんと母さんは安全な領主の町を選んで引っ越してるから、生活は苦じゃないけどなぁ。
そういえば、前世の私も小さい頃...
・・・・・・あれ?
私、前世の記憶が殆ど無い。
この瞬間にも死に際の記憶を失っていく。
そうして残ったのは、僅かな記憶と、高い精神年齢と、元のマリアであった。